基本的に格安スマホには、大手キャリア3社のような通話し放題プランはありません。
通話し放題プランというのは、ドコモだとカケホーダイ(2,700円)が国内通話なら定額で時間無制限、カケホーダイライト(1,700円)が1回5分以内なら回数制限なし定額、ファミリー割引なら家族間は無料といったサービスです。
しかしMVNOにはこのようなプランは基本的に無いので、通話した時間だけ料金が発生します。携帯電話の通話料は、20円/30秒なので、2,400円/1時間です。格安スマホの方が5,000円安いとしても、月に2時間(4分/1日)も電話をすると差がなくなります。
毎日電話を利用する人は、通話料が跳ね上がるのではないのか?結局高くつくじゃないかと気になる所です。
MVNOもこの高額な携帯電話代に対して何もしていない訳ではありません。それぞれが独自のサービスで少しでも通話料を安く出来る手段を用意しています。上手に利用すれば電話代を節約して、格安スマホの割安感を維持する事ができます。
ここでは、その様な各社の割引サービスなどについてまとめました。
通話料が半額になるプレフィックス方式の割引サービス
電話番号の先頭に特定のプレフィックス番号を付ける事で、通話代が半額になるサービスがあります。
通信会社と契約する必要はありますが、初期費用や月額基本料は無料で利用できます。
電話の先頭にプレフィックス番号を付けると、契約している通信会社の固定電話回線を通して相手の電話に繋がります。通信会社は、NTTに回線利用料を払っていますが、割安な固定電話回線を使っているので、通話料を安くできる仕組みになっています。
IP電話と違って通常の電話回線を使うので、音声品質も繋がりやすさも良いです。
一見面倒なようですが、専用のアプリを使うと、プレフィックス番号を自動で付けてくれたり、プレフィックス番号を付けない電話番号を登録できるので、自分でわざわざ番号を入力する必要はありません。
また、プレフィックス番号は、自分の電話番号には付かないので、相手の着信にも表示されません。あくまでもこちらから、専用の回線を通る時に必要な番号という訳です。
ただし、固定電話へは発信者番号非通知になるため、着信拒否される可能性があるので、その場合は、プレフィックス番号を付けずに発信する必要があります。
注意点は、現在利用している電話会社が通話割安プランを行っている場合、プレフィックス番号を付けると、割安サービスが無効になる点です。例えば、家族間や同じ通信会社間だと無料になるサービスです。
それと110、119などの3桁番号やフリーダイヤル、ナビダイヤルへの発信は出来ません。
これを回避するには、プレフィックス番号を付けなければいいので、アプリで番号を付加しない電話番号を登録しておくという方法が使えます。
サービス名 | 通話料(国内通話) | 利用形態 |
---|---|---|
楽天でんわ | 10円/30秒(税抜) | 一般OK |
U-CALL | 10円/30秒(不課税) | 通話プラス契約者のみ |
BIGLOBEでんわ | 10円/30秒(不課税) | 通話SIM契約者のみ |
DMMトーク | 10円/30秒(税抜) | 一般OK |
みおふぉんダイアル | 10円/30秒(税抜) | 通話SIM契約者のみ |
※初期費用・月額料金は無料。
では各社のサービスについて説明しましょう。
楽天グループが提供する「楽天でんわ」
楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズが提供する「楽天でんわ」は、プレフィックス番号「0037-68-」を電話番号の先頭に付ける事で、通話料20円/30秒が半額の10円/30秒(税抜)になります。
専用のアプリを利用すれば、プレフィックス番号を自動的に付けてくれます。また、このサービスを利用したくない相手の電話番号を登録することも出来ます。
楽天モバイルの契約者でなくても、初期費用や月額基本料金も必要なく、登録するだけで利用できます。もちろん通話料はフュージョン・コミュニケーションズに支払わられる事になります。
支払い方法は、クレジットカードと楽天銀行、スルガ銀行のデビットカードだけですが、楽天スーパーポイントが100円につき1ポイント、楽天カードを使うと、2倍の2ポイント貯まります。
法人用の「モバイルチョイス“050”」というのもあります。
個人用の携帯電話にもう1つの050から始まる電話番号を利用できるサービスです。一般の電話と同じ音声品質で、国内固定・携帯へ1分19.8円と通常の約半分の通話料になります。通話料は会社に請求するように登録できるので、プライベートと仕事用を一台のスマホにまとめて2台持ちの煩わしさから開放されます。もちろん会社と相談する必要がありますけどね。
楽天でんわは、単体で利用できるサービスなので、楽天モバイル以外の携帯電話会社と契約している人も通話料を半分に出来るので登録しても良いと思います。
U-mobileの「U-CALL」
U-mobileが提供する「U-CALL」は、専用アプリをスマホに入れることで、国内通話は半額の10円/30秒(不課税)に、国際通話は国別ですが、例えばアメリカの場合だと、10円/30秒になるサービスです。
U-mobile通話プラスの契約者だけが利用できるサービスです。改めて登録や契約をする必要も初期費用や月額基本料金も必要なく、「U-CALLアプリ」をダウンロードするだけで、電話番号にプレフィックス番号を付けて割引サービスをおこなってくれます。
IP電話の様な音の途切れもなく、通常の電話と同じ品質の会話が出来ます。
110、119など3桁番号やフリーダイヤルのようにサービスが無効になる電話番号へは、アプリが自動でプレフィックス番号を外して発信してくれます。
でんわパック60
月額800円で60分間の通話が可能な「U-CALL」のオプションサービスです。
U-CALLを使って60分間電話をかけると、1,200円なので400円安くなります。800円で20分間多く電話をかける事が出来るとも言えます。
BIGLOBEの「BIGLOBEでんわ」と「通話パック60」
「BIGLOBEでんわ」
BIGLOBEが提供する「BIGLOBEでんわ」は、電話番号の頭にプレフィックス番号を付ける事で、国内通話が10円/30秒(不課税)、国際通話が20円/30秒(不課税)と半額になるシステムです。
BIGLOBE LTE・3G音声通話SIMの契約者だけが利用できるサービスです。登録も費用も必要なく、専用のアプリをダウンロードするだけで、プレフィックス番号を自動で付けて割引きサービスを行ってくれます。
IP電話ではないので、一般的な電話と同様のクリアな通話が出来ます。
110、119など3桁番号やフリーダイヤルへは、アプリが自動的にプレフィックス番号を除外して通常電話として発信してくれるので、このサービスを利用している事を意識する煩わしさはありません。
BIGLOBEの「通話パック60」
「通話パック60」は、「BIGLOBEでんわ」の利用者を対象に月額650円(不課税)を支払うと、最大60分間だけ通話し放題になります。通話60分というと、約5.4円/30秒なので、さらに半額の通常料金が約4分の1になります。
通常の通話料金は2,400円/60分ですが、「BIGLOBEでんわ」だと1,200円/60分で、さらにこのサービスを利用すると、650円/60分になる訳です。
「BIGLOBEでんわ」で650円分電話をすると32分30秒です。月に33分以上電話をかけると、650円を超えるので、毎月33分以上電話をかける人は入った方が割安になるサービスという訳ですね。
DMM mobileの「DMMトーク」
DMM mobileが提供する「DMMトーク」は、プレフィックス番号「0037-692-」を電話番号に付けることで、国内通話が10円/30秒(税別)に、国際電話も32カ国一律10円/30秒(非課税)になるサービスです。
費用は一切かからず、登録してから専用のアプリをダウンロードするとプレフィックス番号「0037-692-」を自動的に付けて割引サービスを実行してくれます。
専用アプリで電話番号を長押しすると、プレフィックス番号を外して通常電話番号とし発信してくれるので、110、119などの3桁番号やフリーダイヤルやキャリアの無料通話サービスの使い分けも出来ます。「無料通話リスト」に登録すれば、自動的に通常電話番号で発信する機能もあるので、わざわざ操作する必要も無いでしょう。
DMM mobileの契約者以外でも利用できますが、DMMトークに登録する必要があります。支払い方法は、クレジットカードのみで、電話代はDMMに振り込まれます。
業界最安のDMM mobileとDMMトークを利用してキャリア時代よりスマホ代を大幅に節約しましょう。
IIjmioの「みおふぉんダイアル」と「ファミリー通話割引」
IIjmioが提供する「みおふぉんダイアル」は、プレフィックス番号「0037-691」を電話番号に付けることで、国内通話が10円/30秒(税別)、国際通話も10円/30秒(非課税)になります。
IIjmioの音声通話SIM契約者だけが利用できるサービスですが、改めて登録する必要も費用も一切必要なく、みおふぉんダイアルアプリをダウンロードするだけで、プレフィックス番号を自動的に付けて、割引きサービスを適用してくれます。
IP電話と違うので、一般的な携帯電話と同じ品質のクリアな通話が可能です。
ファミリー通話割引
同じID内のみおふぉん同士なら、通話料が20%引きの16円/30秒になります。こちらは、申し込みも専用アプリも不要で、同じID同士内なら自動的に適用されます。
そして「ファミリー通話割引」が適用されている人同士で「みおふぉんダイアル」を利用すると半額の8円/30秒となりトータル60%割引きになります。
家族でIIJmioを契約すれば電話代が40%まで減らせるので結構お得になります。
IP電話を利用する
IP電話は、インターネット回線を利用して通話を可能にした技術です。
通常の電話と違って、インターネット回線を利用するので、音声品質が低く、回線状況次第では、通話が途切れる事があります。通信速度が安定している状況やWi-Fiに接続するなど気を配る必要があります。
もう1つ注意点として、IP電話はインターネットを利用しているので、データ容量を消費します。
先頭に050が付く電話番号が割り当てられるサービスを利用する場合、通話相手はアプリを利用している必要はなく、ほぼ通常の電話と同じように利用できます。
ただし緊急通話(110番/119番)などに繋がらないので注意しましょう。
気軽に電話が出来る相手や長電話をしたい時に利用すると大幅な割安となるので、通常の電話と使い分けることでお得になるサービスです。
サービス名 | 通話料 | 使用料 | 無料通話 |
---|---|---|---|
050 plus | 16円/1分(携帯電話へ) 8円/3分(固定電話へ) |
・一般は300円 ・「OCN モバイル ONE」 通話SIMは無料 データSIMは150円 |
同じアプリ同士など |
LaLa Call | 18円/1分(携帯電話へ) 8円/3分(固定電話へ) |
・一般は100円 ・「mineo」は無料 ・「eo光」 は無料 |
同じアプリ同士など |
NifMoでんわ | 通話料定額 | 国内通話:月額1,300円(税抜) 国際電話:月額2,700円(税抜) |
全て |
NTTの「050 plus」
NTTコミュニケーションズが提供する「050 plus」は、050の電話番号を使ってIP電話が出来るサービスです。
一般の利用者は月額300円ですが、「OCN モバイル ONE」の音声通話SIMを契約すると標準で付いています。データSIMの場合は、セット割で月額料金150円が必要です。
通常の通話料20円/30秒が、携帯電話に16円/1分、固定電話に8円/3分とかなり安くなります。同じアプリやOCNドットフォン、提携している他の050IP電話同士なら、通話料は無料。
フォトトークを使うと、写真などの画像も送れるので、通常の電話にはない楽しみ方も出来ます。
留守電話(音声ファイル)や着信履歴はメールで届き利用料は無料。
mineoの「LaLa Call(ララコール)」
mineoのケイ・オプティコムが提供する「LaLa Call」は、050の電話番号を使ってIP電話が出来るサービスです。
mineoとeo光の契約者は月額料金は無料ですが、その他の利用者は月額100円が必要になります。
IP電話なので音声品質は劣りますが、通話料金が携帯電話へは18円/1分、固定電話へは8円/3分とかなり安くなっています。また同じアプリやeo光電話となら無料なので、mineoユーザー同士だと基本料金・電話代が一切かからない事になります。
IP電話ならではの機能として、文章や画像、動画を送る事も出ます。また最大30人での会話も可能なので、サークルなど仲間同士や家族同士で利用するのに便利です。
留守番電話や転送電話も無料で利用出来るのも基本有料の携帯電話よりお得です。
初期設定時に本人確認のための電話番号が必要なので、固定電話か別の携帯電話番号を用意しないといけないようです。
音声品質が悪くても気にならない相手となら、特に固定電話へは長時間通話をしても電話代が怖くないくらいの料金ですね。
詳しくは、mineo公式サイトで確認してください。
NifMoの「NifMoでんわ」
NifMoが提供する「NifMoでんわ」は、050の電話番号が貰えるIP電話の定額通話サービスです。
国内通話が月額1,300円(税抜)でかけ放題に、国際電話は月額2,700円(税抜)でかけ放題になります。
IP電話ですが、利用には音声通話SIMを契約している必要があります。
海外サーバーを経由して接続するため、非通知になる事があるようですが、それを防ぐ為にSMSを送って通知する仕組みが用意されています。ただしSMSの発信には、国内は3円(税抜)、海外は50円(免税)が必要なため、非通知でも良い人用に機能のオンオフを切り替える事ができます。
かけ放題と言っていますが、連続通話90分経過で自動的に回線が切断されます。長電話したい人はかけ直さないといけません。
IP電話はインターネット回線を利用した通話です。そのため音声品質は通常の携帯電話より劣ります。接続状況もネット回線に依存するので、途切れ途切れになる事もあります。さらに110や109、118などの緊急電話やフリーダイヤルにはかけられません。
この他にもネット通信のため3分あたりデータ容量を1.5MBも消費します。
気兼ねなく長電話できるメリットはありますが、データ容量の消費や海外経由による音声品質や接続の不安定さなどデメリットも大きいです。
途中で止めたくなっても、契約解除手数料を3,000円も取られるのも痛いです。
通話し放題の定額プラン
格安SIMにキャリア並みの無料通話ができる通話定額が増えてきています。
通話条件 | 月額料金 | 利用条件 | |
---|---|---|---|
Y!mobile | 10分間/300回 | セット料金 | セット |
スーパーだれとでも定額 | 国内通話無料 | 1,000円プラス | Y!mobileのオプション |
楽天モバイル | 5分間/回数無制限 | 850円 | 楽天モバイル契約者限定 |
DTI SIM | 5分間/回数無制限 | 780円 | DTI SIM契約者限定 |
Y!mobileの通話SIMと「スーパーだれとでも定額」
Y!mobile(ワイモバイル)のSIMには標準で、1回あたり10分以内、300回/月までなら国内電話が無料になっていますが、その分だけ他の格安SIMより高めです。
例えば、1GBの通話SIMだと、Y!mobileは2,980円、DMM mobileは1,260円。
結構な差額ですが、通話時間次第では割安になります。
10分間を300回だと、50時間。これを通話代20円/30秒で計算すると、120,000円分の電話代に相当します。
また300回は、1日当たりだと10回電話をかけられる事になります。10分経つ前に一旦かけ直せば毎日100分もの長電話が出来ます。
条件いっぱいまで電話をすると、とんでもないくらい得する事になりますね。
さらに「スーパーだれとでも定額」を利用すると、1000円/月料金の追加で時間・回数無制限で国内通話が無料になります。完全に通話し放題になるので、電話代を気にしたくない人は入っておくと安心できます。
楽天モバイルの「5分かけ放題オプション」
楽天モバイルにも1ヶ月間を通して通話定額が出来るサービス「5分かけ放題オプション」があります。1回あたり5分間以内なら回数無制限で料金は月額850円(税別)です。
「楽天でんわ」アプリを利用したサービスで、楽天モバイル契約者限定になります。連続の通話時間が5分以内なら、何回電話をかけても定額で通話料は一切発生しません。5分以内にかけ直せば、ずっと電話できる訳です。
「楽天でんわ」(30秒10円税別)を元に月額850円の通話時間を計算すると、42分30秒で、5分間の電話だと8回程度です。ちょこちょこ電話をかける人ならかなり得するサービスになるでしょうね。
DTI SIMの「でんわかけ放題」
DTI SIMの「でんわかけ放題」は、DTI SIMの通話SIM契約者限定ですが、1回あたり5分間以内なら回数無制限で電話をかけられる通話定額です。
でんわかけ放題は、中継電話(プレフィックス方式)ではなく、携帯電話と全く同じ電話回線を使っているため、プレフィックス番号を外さないと、緊急電話やフリーダイヤルなどにかけられないという事がありません。
また、DTI SIMの最安値クラスの1GBプランと組み合わせると、通話定額も使えて1,980円(税抜)で利用できるのは、キャリアから見ると脅威です。
キャリアとの違いは、家族間無料がない事です。また、うっかり5分を過ぎると、30秒20円の携帯電話料金がかかるため、楽天でんわの30秒10円より高くつきます。
まとめ
プレフィックス方式のサービスを利用すると通常の電話と同じ感覚でありながら、半分の電話代ですみます。目安は通話時間が1ヵ月に4時間以内なら、キャリアの無料通話より安くなるので、MVNOへの移行を考えてみてもいいでしょう。
IP電話は通話品質こそ劣りますが、携帯電話への通話料はさらに安くなり、固定電話へは固定電話料金と同じくらいになるので、気軽に電話をかけられます。通話状態を気にしないでもいい相手に対して利用するならお得になるでしょう。
プレフィックス方式は特に欠点はありません。IP電話は音声品質が安定しない欠点があります。デメリットとメリットを考慮して使い分けると、格安スマホでも電話代をかなり節約出来ると思います。